メッセージ

当社の先輩社員からのメッセージを掲載いたします。
船乗りの生活を想像し、我々と一緒に大きな仕事を行うビジョンを持つのに役立ててください。

グローバル化時代に突入する日本に、
なくてはならない人材になってほしい。
入社:2009年4月
年齢:28歳
職位:二等航海士
趣味:登山、写真撮影

私は入社5年目、入社後すぐに海上研修として外航ケミカルタンカーに乗船。その後三等航海士として乗船し、延べ6隻のケミカルタンカーを経験し現在に至ります。

私が配乗される船は混乗船といって2か国またはそれ以上の国籍の船員が共同で一隻の船を動かしています。

混乗するのは殆どがフィリピン人で、韓国人職員が混じることがありますが、船内のチームワークは良いと思います。

日本人には本来指導的立場を求められていますが、私はまだ二等航海士なのでフィリピン人の船長や一等航海士の下でも実務を取っています。

フィリピン人は国内で働くより船員になった方がはるかに良い給料が貰えるので、国で優秀な人しか商船学校へは行けないそうです。彼らは性格的に温和な人が多く日本人とは気が合うと思います。

船内での指示・報告は公用語である英語でされます。
フィリピン人はアメリカによる植民地時代の名残で英語が上手ですが日本人はそれほどではありません。
私はこの仕事で船長を目指す以上英語は避けて通れないことを実感するので、乗船中も下船休暇中も英語だけは毎日触れるようにしています。次の休暇中にはTOEIC TESTの申し込みもしてあり、2回目のチャレンジです。

私の職場である甲板部門の仕事を簡単に説明しましょう。

先ずは航海。船橋(ブリッジ)で見張り当直をします。最新式のレーダーや電子海図を使い、浅瀬や他船を避けながら安全・最短な航路を走らせます。
船は日中、夜間に関係なく走るので1日2回の4時間当直を3交代で取ります。
外洋に出ていい天気の日には「海は広いな大きいな…」て感じです。

次は荷役です。
荷役とは荷物の積み・揚げのことをいいます。

荷物を積んで揚げる(降ろす)だけというイメージがありますが、 実はその裏で、船の平衡を保つためバラスト水の調整、積荷の温度管理、陸上との書類のやり取りなど、 付随する仕事は多岐にわたります。

特に積荷がパームオイルの場合は種類・グレードが多く、それぞれ用途も違えば航海中に保持する温度も異なります。
入社当時はその仕事量の多さに圧倒されましたが、 今ではそのきめ細やかな配慮が必要とされる仕事にやりがいを感じられるようになりました。

乗船中は、言ってみれば24時間仕事をしているようなものです。もちろんシフトは8時間の仕事時間と、残りは休憩時間・睡眠時間となりますが、常に緊張感はありますし、緊急事態になれば休憩時間だからとも言っていられません。

そのかわり、6ヶ月前後の乗船期間が終われば、サラリーマンには取れない、2ヶ月近い休暇が待っています。
乗船を終え休暇に入るという瞬間は、今までの仕事をやり切った充実感と、これからの休暇への期待が入り混じる、何とも言えない最高の時です。

休暇の過ごし方は人それぞれですが、私の場合、短期の休暇ではいけないような東南アジアの田舎の村を転々としてみたり、趣味の山登りが興じて、真冬のカナダで冬山登山や氷壁を登ったりもしました。

この前の休暇では、インドネシアからニューギニアにかけて1か月間ジャングルを旅行し、世界最大の花ラフレシアを写真に収めることに成功しました。
他の日本人の船員の中には、仲の良いフィリピン人船員の自宅を訪問して、フィリピン人特有の家族総出でのもてなしを受けて感激し、それ以来その船員との絆が一層深まったと話している人もいます。

かつて外航ケミカルタンカーにはたくさんの日本人船員が乗船しておりましたが、今ではその先輩たちも引退し、昔ほど人員が豊富にいるわけではありません。
しかし、きめ細かい配慮をしながらの業務は、日本人が得意とするところです。
これからは我々若い世代が、新たな日本人船員の時代を築き上げていかなければなりません。

これから時代はグローバル化していき、日本人も海外にどんどん出ていかなければ、日本の発展、世界の発展は無いでしょう。
グローバルな考え方を学び、日本人の特色をいかんなく発揮できる当社で、皆さんと一緒に働くことが出来ることを心待ちにしております。